夜の紙芝居劇場

4月14日土曜日夜6時。
新宿の小さな地下劇場に集まる大人たちはおよそ100人。
ほとんどが40歳以上の女性だ。

壇上には、B4サイズの小さな舞台と一人の演じ手。
そこに描かれた絵と演じ手の声と表情で繰り広げられる
「演劇」に、100人が一喜一憂。
壇上に一人いる演じての声と表情が、物語を語る。

この会は、「紙芝居とゆかいな仲間達」。
年数回開かれていて、今回は第6回目だ。
全国で活躍中の紙芝居師たちが、次々と出演し、
自慢の演技を披露する。
午後6時から休憩をはさんで3時間以上に及んだ。

今回、私は、紙芝居の上演を最近はじめた知人に誘われて
初めてこの会に足を踏み入れた。

くすくす、わはは、ふふふ…
時折、たくさんの笑い声が、満席の劇場に響き渡る。
おもしろい話には素直に笑い、ときに大爆笑。
意外な展開には、はっと息をのむ。
初めてみる紙芝居の世界に、いつの間にか引き込まれていた。

観客は、主に、
地域で紙芝居の読み聞かせをしている演じ手たちや
教育関係者。自らの勉強のためにきているという。

初めての紙芝居の会、
まず、感じたことは、
紙芝居好きって、こんなにいるんだ、ということ。
紙芝居なんて、子どもの頃に少しみただけ。
幼稚園の先生がやってくれたくらいだ。
熱心に技術を磨こうなんて人が今の世の中にこんなにいて、
しかも、土曜の夜に全国から集まるなんて、びっくりだ。

また、
紙芝居って、意外におもしろいということを感じた。
声の出し方や表情、場面の抜き方などで、情景が伝わってくる。

あと、
おもしろかったのは、昔話が多かったせいか、
赤鬼、青鬼、極楽、地獄、きつねなど、
昔話の定番のキャラクターや場面設定が頻出。
久しぶりにそんな言葉を耳にしたなあと、
何とも懐かしくも新鮮なきもちになりました。

新宿の夜、地下に大人が集まって紙芝居に興じる。
客観的にみるとなんとも異様な光景ですが、
本人たちはいたって真剣。
子どものために活動する大人たちが集う、
「大人の世界」だ。

「天狗童子」

佐藤さとるさんが好きです。
コロボックル物語に出会って幾年月。
私の心の支えです。

ただ、新刊については全くチェックしていなくて、
先日、2006年に出版された佐藤さとるさんの本
「天狗童子」に出会いました。

短編ファンタジーやコロボックル物語とは異なる雰囲気。
児童文学ではなくて、時代小説に読めました。

主人公の天狗の子がとっても素直でかわいらしく、
挿絵の雰囲気そのまま。
登場人物は、佐藤さんのお話らしく、みな心の優しい人です。
そう、佐藤さんのお話に出てくる人たちは、
全然飾らず、自分を大きく見せようとせず、流行に流されない、
自分の芯をしっかり持っている人ばかりだなあと、
改めて実感。

佐藤さんのお話全体に漂う
シンプルだけどすごくどっしりして、潔い雰囲気は、
そこからでているのかもな、と感じました。

本朝奇談天狗童子本朝奇談天狗童子絵本ナビ

大人も大好き 児童文学

児童書専門店の銀座の教文館ナルニア国へ行ってみた。

いやー5年ぶりくらいでしょうか。
あかるくて、なごやかで、きちんとしていて、のんびりとして、
あたたかな空間でした。

店内には、親子が数組と二人連れの女性。
女性たちは、お仕事のようで、熱心に図鑑を選んでおられました。

最近気になるのが、大人が楽しむ児童書。
松谷みよ子や佐藤さとる、あまんきみこなどの作品が
装丁を変えたり、編集を変えたりしながら相次いで出版されています。
いずれも文庫や全集など、あまり子供向けではない形で。

大人が読む本の一ジャンルとして、
児童文学が認められてきたってことかな。

佐藤さとるさんがおっしゃるように、
児童文学は、こどもも理解できるように書かれているだけで、
文学であることにはかわりはないんです。

私は大歓迎です。
この動き。


「のぼるはがんばる」

東君平さんの童話とイラストが好きだ。

日常生活の中のありふれた風景や出来事が、
君平さんの目を通すと、新鮮なおはなしになる。
毎日新聞に連載されていた「おはようどうわ」は
そのさいたるものだと思う。

10年くらい前のある日、古本屋で見覚えのあるイラストが、突然目にとびこんできた。
影絵のような独特のイラスト、一目で君平さんの本だと
わかった。
フォア文庫の「のぼるはがんばる」だった。

当時、その本は知らなかったけれど、迷わず購入。
しかし、中身をじっくり読むことはなく、本棚にしまっておいた。

10年たった今、本棚を整理していると、
「のぼるはがんばる」が目にとまった。
開いて読んでみた。

…おもしろかった!というか、なんともせつないきもちになった。

君平さんのおうちの飼い猫「のぼる」が、
覆面をかぶったなぞの生物「チューインガム」と出会い、
いろんな経験をする物語だ。

猫の気持ちになって日常生活を見ると、
こんな感じなんだなーと思う描写。
あとがきにもあったけど、
のぼるがテレビの上に乗って家族を見ているシーン。
自分がテレビをみているときって、あんなふうなのかも、
とちょっと不思議な気分になりました。

私も身の回りをいろんな生き物になって歩いて見よう、と
思いました。

「のぼるはがんばる」 作・絵 東君平/金の星社(絶版?)

なぞなぞのすきな女の子

神保町の児童書専門店「みわ書房」へ行った時のこと。

山積みになっている本の中に、見覚えのある一冊を見つけました。
それは、「なぞなぞのすきな女の子」。
女の子とうさぎが森の中で話し合っている絵。
それをみた瞬間、私は実家の本棚の前にいました。

この本は、
小学生のころ、いつもいっていたスーパーマーケットの本屋で
買ってもらった本です。
なぞなぞ遊びが大好きな女の子が、
とんちでオオカミを追い払うお話。

途中に出てくる
「しろくておいしいものなあに?」というオオカミのなぞなぞには、
子ども心に「なんて自己中な…」とあきれたものです。
(答えは本でご確認を!)

展開も結末もすっかり覚えているのに、
何度も何度も読みました。
理由はわからないけれど。

その表紙を目にするまで、
その本のことなんて思い出すこともなかったのに。
おそるべし「みわ書房」。

なぞなぞのすきな女の子なぞなぞのすきな女の子
作:松岡 享子 / 絵:大社玲子 / 出版社:学研絵本ナビ

やっと

額装しました。

Ismfileget

10年前にイギリスに行きました。
同じ大学の友達との5日間の卒業旅行。
目的は、
イギリスの田園風景をこの目で確かめること。
コッツウォルズのフットパスをひたすら歩いては
見るものすべてに感動しきりの毎日でした。

そんな旅の最終日、飛行機に乗るためにロンドンへ。
初めてのロンドンで、私たちが訪れたのは、
ビックベンでも大英博物館でもありません。

本が好きな私たちは、「古本屋街に行ってみたい」と思い立ち、
ガイドブックを調べ、「チャリングクロス」という場所に行きついたのでした。

チャリングクロスには、
確かに、古本屋がたくさんありました。
本はもちろん、古地図などの店もあり、通りを歩いているだけで
楽しい街。
森林生態を専攻していた私たちは、
あこがれの生態学者、ラッカムの本を見つけて歓声をあげておりました。

そんな中、一軒の古本屋兼画材屋のような店に入りました。
店の壁にはぎっしりと本が詰まった本棚。
店の真ん中には、裁判官の席のように、一段高いところにレジがあり、
そこに座っているのは、30代くらいの店員でした。
日本人のわれわれが入っても、一瞥しただけで、無言。

まあこんなものか、と思って店内をみていると、
入口に近いワゴンに、マット付きの小さな絵がぎっしり詰まっていました。
すべて「くまのプーさん」のイラストに水彩で彩色したイラストでした。

オリジナルのプーさんが大好きな私は、迷わず物色。
数分後には、3枚の絵を手にしてレジに向かっていました。

帰国して、2枚は家族のおみやげにしましたが、
1番気に行った一枚は、部屋に飾りました。
イギリスで目にした田園風景が
そのまま切り取られたような一枚です。

額に入れようかな、と思いながらもずっとそのままに。

それが今日、偶然、額縁やさんの前を通りかかり、
「そうだ、額買おう」と思い立ち、やっと額を買いました!

額に入れてみると、イギリスに行った時のこと、
いろいろ思い出しては懐かしく、しばし絵を眺めました。

そうそう、これ買った時、なぜかクレジットカード、使えなくて、
現金で払ったな―、とか。

またきたいな、イギリス。
今度は大英博物館にもいってみようか。

「ノースウッズの森で」

昨年12月、知人のすすめで 絵本「ノースウッズの森で」作者の
写真家・大竹英洋さんの講演会に行きました。

講演会のチラシをみて、「とてもきれいな写真を撮るひとだなー」と、
ごく普通の感想を持ち、いざ、会場へ。
会場は満員!
失礼な話ですが、
私は大竹さんのことをほとんど知らない状態だったので、
びっくりしたと同時に、講演が始まるのがとても楽しみでした。

アメリカとカナダにまたがる湖水地方、「ノースウッズ」。
大竹さんは、その土地に魅せられて、撮影を続けているとのこと。
ノースウッズで撮影された写真を紹介していただきながら、
その土地の魅力についてのお話を聞きました。
語り口からは、とても素朴でまじめな人柄がしのばれ、すぐに
お話に聞き入ってしまいました。

そこで見た写真は、どれも見入ってしまうものばかりでした。
第一印象は、色がとてもきれい、ということ。
そして、動物たちの表情が、目を離せないくらいに生き生きとしていること。
大竹さんが、その土地や生き物たちに思い入れがあるからこそ、
撮れる写真だと思いました。

私は、それまで、アメリカ大陸の自然には全く興味が
ありませんでした。それは、広大過ぎて、私の理解の範囲を
超えているようなイメージがあったから。
日本の里山や、イギリスの田園地帯のような、
人と自然の距離が近い場所が好きで、愛着がありました。

しかし、大竹さんの写真とお話を見て聞いて、
その考えが変わりました。

地球には、その土地特有の自然があり、
そこでしか生きられない生き物がいる。
彼らはなぜそこで生きているなんて、考えることなく、
ただ毎日を懸命に生きている。

そんな当たり前のことを初めて知ったような気がして、
自然に関する仕事をしているのに、すごく初歩的な
間違いをしていような気がして、うれしいような恥ずかしいような
気持ちになりました。

そのほかにも、どうしてそんなに過酷な撮影を続けられるのか?、
どうしてノースウッズにそんなに魅入られたのか?など
次々に疑問が湧いてきました。

講演会の後、「ノースウッズの森で」を迷わず購入。
サインしていただきました!

今度お会いできる機会があったら、聞きたいことがたくさんあります。

ノースウッズの森でノースウッズの森で
作:大竹 英洋(文・写真) / 出版社:福音館書店絵本ナビ

la concert!

ロシア映画「la concert!(オーケストラ!)」が好きだ。

ストーリー展開には、やや無茶な部分があり、
途中で心が離れそうになるが、ラストですべておさまる。
見てよかったと思ったと思える。

ラストの数分の
チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲を演奏するシーンは
見応え十分です。
特に、ソリスト「ジャケ」の表情がすてき。

私はこの映画を見て、
ほんもののオーケストラが演奏するヴァイオリン協奏曲を
聞きたくなって、
コンサートに行ってしまいました。

ひつじのショーン

正月に実家に帰りました。

3歳になる姪に4カ月ぶりに再会。
しっかり大人と話ができるくらいに。
大きくなったねー。

実家に帰るたびに、
私は子どもたちの新しい流行を知ります。

ちなみに、
いままでは、メイコブ、サボさんとコッシー、オーボールなどなど。

さて、今回の新しく仕入れたのは、
Eテレで放映中のクレイアニメ、「ひつじのショーン」です。

母が毎日せっせと録画して、姪と一緒に見るのが日課、とのこと。
お正月は、私も一緒に見てきました。
今まで、キャラクターとしては、知っていたけれど、
TVでお話をみたのは、初めて。

…これが、

しっかりはまりました!
これって、絶対大人向けだよね?と突っ込みたくなる
シュールなユーモア満載のストーリー。

実家から戻って、半日くらいyoutubeで見ちゃいました。

「先生のおしりがやぶけた」

知人から、いせひでこさんの「木のあかちゃんズ」をみせていただき、
子供の頃、伊勢英子さんのイラストが大好きだっだことを思い出しました。

いまでも強く印象に残っているのは、
「モモちゃんとアカネちゃん」シリーズの一冊で、
モモちゃんが逃げていくシーン。

後ろ姿ながら、
小さい子が一生懸命、無心に走っている様子が
感じられる絵を見て、子どもながらに、
「すごい画家だなあ」と思ったのを覚えています。

その知人と別れたのち、ふと思いだした伊勢英子さんの絵。
若い女性がはずかしそうにうつむいている姿。
ゆるやかなウェーブのかかった長い髪を
後ろに一つに束ねた若い女性の絵です。

これは何の本だったかな?
思いだせず、気持ち悪く、ネットで調べてみました。

…「これだ!」

「先生のおしりがやぶけた」です。

遠足でズボンを破いてしまった新任教師と、
先生を周りの人たちの目から守りながら学校へ帰る子供たちの話。
伊勢さんのイラストが、生き生きとした子供たちの気持ちを伝える一冊です。

最後に読んでから十数年。
まったく思いだすことがなかったのに。

子供の頃の記憶って、すごいなあ、と感心しました。

先生のおしりがやぶけた!先生のおしりがやぶけた!
作:山本 なおこ / 絵:伊勢英子 / 出版社:ポプラ社絵本ナビ
木のあかちゃんズ木のあかちゃんズ
作・絵:いせひでこ / 出版社:平凡社絵本ナビ


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